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ウクライナ戦争下のロシア語留学
2026年1月28日
ウクライナ戦争下のロシア語留学
ロシア語留学の現在位置 JICロシア語留学チーム
6月11 日(日)、大阪市内のロシア料理店「カフェ・ボーチカ」にて、関西日ロ学生交流会セーミチキとJICの共催で、 留学相談会「ロシア以外の国でのロシア語留学について」を開催しました。 ウクライナ戦争にともない外務省の海外危険情報でロシアがレベル 3(渡航中止勧告に引き上げられたため、多くの学生がロシアの大学への留学を躊躇せざるをえない事態となりました。留学したいと思っても、家族に反対されたり、 大学によっては「留学するならロシア以外の国へ行きなさい」と言われたりもします。 「ロシア語をしっかり勉強したい」「ロシア以外の国で、ロシアと同じように、日常生活でもロシア語が話せる環境で、 留学できる受入先はないか」。このような要望を受けて、JIC では昨年9月出発の留学生からカザフ国立大学を手配するな ど、新しい留学先の開拓に取り組んでいます。 今回はセーミチキの代表者・柴田さんから「ロシア語留学を考えている学生向けの相談会を企画したい」との提案を受け、JICが協力して一緒に開催することになりました。 相談会には、大阪大学や京都外国語大学の学生とJICロシア語講座の受講生、計8名が参加。JICロシア語留学チームの小原と岡本が説明・相談にあたりました。カフェ・ボーチカさんのご厚意で会場にはロシア紅茶とジャム、お菓子が並び、くつろいだ雰囲気で相談会が始まりました。 参加者は大学1‐2年生が多く、ロシアにも行ったことのない人がほとんどでした。そこで、まずはJICが現在留学生 を送り出しているロシアおよびロシア以外の国の大学・教育機関の紹介を中心に説明を行いました。 以下、相談会で出されたいくつかの特徴的な質問をとりあげ、ロシア語留学の現状を紹介します。 「現在、ロシアのビザは出るのですか?」 参加者の一人から、相談会の開始前に「現在、ロシアのビザは出ないのでは?」と質問がありました。旅行の問合せで 電話してくるお客様の中にも、「今はビザが出ないからロシアに行けないけど、‥‥」と言う人がいます。 しかし、誤解しないでください。実際のところロシアは日本人へのビザ発給を制限しておらず、留学であれ旅行であれ希望する人は誰でもロシアに渡航することができます。ロシアの大学はこれまで通り日本人を含む外国人留学生の受け入れを続けています。ロシアに対し海外危険情報レベル3を出しているとはいえ、日本もまたロシア人に対して通常通りビザを発給しており、現にたくさんのロシア人観光客が日本を訪れています。 「普通にビザが出ているのに、なぜ外務省はロシアに危険情報レベル3を出しているのですか?」 ウクライナ戦争の開始と同時にアメリカ・ヨーロッパ・日本はロシアに対して厳しい経済制裁を科しました。最大の制裁措置は金融制裁で、日本をはじめ西側からロシアの銀行へ、 ロシアから西側の銀行への送金が非常に困難になりました。 また日本や欧米諸国で発行されたクレジットカードはロシア国内で使えなくなりました。 さらに、欧米諸国がロシア航空機の乗り入れと領空飛行を禁止したため、ロシアも対抗措置として欧米航空会社の飛行禁止措置を取りました(ちなみに日本の航空会社は自主規制 でロシアへの乗り入れを停止しているだけで、厳密にはどこからも制限は受けていません)。 このように、ロシアへの渡航は、①航空ルートが極めて限られており、②クレジットカードが使えないなど滞在に支障をきたす恐れがあるため、日本外務省は海外危険情報でロシアをレベル3(渡航中止勧告)にしたわけです。レベル3の理由は、決して「対ロシア制裁」ではありません。実際に日本とロシアが戦争をしているわけではないので、お互いにビザ発給は通常通り続いているのです。 「ロシアでの留学生活にどんな支障がありますか?」 最大の問題は、留学中の生活費の調達手段が限られている ことです。日本からの銀行送金が難しくなったので、出発時 に滞在に必要なだけの現金を持って行くとか、現地で制裁対象になっていない銀行で口座を開きそこに送金してもらうといった方法で対処しています。 しかし、ロシア現地での生活は、モスクワやウラジオストクに滞在している日本企業の関係者に聞いた話では、平穏そのものです。物不足になっているわけでもなく、スーパーには商品が溢れており、ネットで海外情報とも容易に接続できます。いくつかの困難はありますが、留学生活そのものは現在のところそれほど不自由がない状況です。 「ロシア以外の国でロシア語留学できるのは、どんな大学がありますか?」 現在JICで手配可能なロシア語留学の研修先には、以下の大学等があります(7月10日現在)。
カザフスタン;カザフ国立大学(アルマトイ)
キルギスタン;スラブ大学、ビシケク人文大学
ベラルーシ;ミンスク国立言語大学
ラトビア;ダウガフピルス大学、LIDEN & DENZ語学学校
エストニア;タリン大学
アルメニア;モスクワ大学エレヴァン校
いずれも一長一短がありますが、ロシア語教育の長い伝統と実績を持つ大学ばかりなので、ロシア国内の大学で学ぶの とほぼ同等のロシア語留学を体験することができます。 ただし、特に中央アジアの大学については、JICとしても 最近連絡を取り始めた大学が多く、留学生受け入れの条件や ルールが今一つ不明確なところがあります。確認事項が度々変わり、手配がスムーズに進まないことがあります。 「ミンスク言語大学ですが、ベラルーシはウクライナに隣接しているので危なくないですか?」 ベラルーシに対しても、日本外務省はロシアと同じく海外 危険情報のレベル3を発出しています。ただし、戦争当事国ではなく、経済制裁の影響もさほど大きくないため、大学への授業料の送金などは従来通りできています。クレジットカードも利用が可能です。現在、ミンスクに留学中の人が1人 いますが、平穏な留学生活を送っていると聞いています。 「JIC の場合、何かあったときのヘルプ体制はどうなってい ますか?」 JIC はモスクワやサンクトペテルブルグに現地係員を配置していますが、通常は、留学先に到着して現地生活に慣れるまでの間が一番トラブルが多いので、留学初期のお世話を中心にヘルプ体制を組んでいます。初期を過ぎて慣れてきたら、 留学生活のさまざまな問題は自分自身で解決してもらうのが基本です。ロシア語を使って問題解決能力を養うのも留学の一つの目的です。 ただし、個人の力では対処できない大きな問題が起こることもあります。そういう場合は、JICは現地係員や受入先大 学の担当者などとともに、全力でサポートします。例えば、 2020 年春に新型コロナで世界中で出入国が急激に制限された時期には、現地日本大使館などとも連携して、帰国フライ トの確保を緊急に行いました。留学先の大学と学費や寮費の 返金交渉と確認を行ったり、オンライン授業への切り替えに ついて情報提供を行ったりもしました。 * * 一通り説明を終えた後にスタッフの学生時代の話になりま した。(JICスタッフが留学した)「 30年ほど前はインターネットがなく、テレビやラジオでしか情報が得られませんでし た。クレジットカードも使えなかったので、生活費は全て現金で持って行き、寮の部屋でスーツケースに鍵かけて管理していました。卵を買うために行列に並んだこともありましたよ」と、ソ連時代末期の物不足の頃の思い出話をしたのです が、あの時代に比べると、留学環境は格段によくなりました。とはいえ、ウクライナ戦争が終結しない限りロシア語留学にはこれからも様々な困難が続くと思われます。 一日も早く戦争が終わり、希望する若い人が何の制限もなく安心してロシア語留学できる日が来ることを、留学チーム 一同待ち望んでいます。
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