タタールの民話をバレエ化した作品なので、まさにご当地バレエです。ヤコブソン改訂版だそうですが、フォークロアの土っぽさと、彼のほんのりダサいところが上手く調和して、迫力がありました。衣装はともかく、装置はとても気に入ったし、フォークロア・ショーありで楽しめました。
 今や非常にマイナーな作品なので、大雑把なあらすじを。タタール版「白鳥の湖」というか羽衣伝説というか、鳥の姿をした悪魔・シュラレーからブィルティール(村の若者)はシュユンビケ(鳥の姿をした女の子)を救い出して嫁に迎えるけれど、彼女はシュラレーに奪われたままの翼が気になって上の空。そこへ再びシュラレーが現れてシュユンビケをさらってしまったので、ブィルティールは森へ追いかけていき、シュラレーを火にくべて撃退、翼も取り返す。シュユンビケを思いやって彼は翼を彼女に返すけれど、シュユンビケは愛するブィルティールと一緒に暮らすために翼を捨てる、というお話。バレエにしては男が誠実かつ強い、ということで非常にいい話です(笑)そして悪の親玉シュラレーが意外とお茶目さんでした。
 アレクサンドラ・スロジェーエワはテクニック的には並なんだろうと思います。この日がシュユンビケ/デビューだったそうで、前半は特に硬かったのですが、ラストのパ・ド・ドゥは良かったです。可憐な雰囲気がある、かわいらしいダンサーです。
 一方ベロフは地方劇場離れしたダンサーでした。力強い踊りだし、大技をやってもふらつかないのでアカデミックな印象。彼だけではなくて、「タタール」という響きそのままに、ここのバレエ団はビックリするくらい男性陣が充実しています。 シュラレー役のサヴジェーノフも巧みだったし、「火」を踊ったヌルラン・カネトフはナヨナヨ系かと思いきや(ロシアのバレエ雑誌で写真は何回か見ていたので)キレが良くてパワーもありました。
 男性陣に限って言えば、ミハイロフスキー劇場の上を行くかな?と思います。日本では無名のカンパニーなんですが、タタールスタン自体が豊かだし、ヨーロッパ・ツアー定期的に行っているので労働条件もトップクラスだそうで、いいダンサーを集めやすいんだそうです。


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